梅と竹というと、禅語に、
梅有り月色に添う、竹無し秋風を欠く(有梅添月色、無竹欠秋風)。
という句があります。
「梅有り月色に添う」の意味は、
梅はまだ寒さ厳しい初春に、一番に花を咲かせる。しかも「花よし、香りよし、実よし」といわれます。
初春の夜、空気が澄んで冷ややかな闇の中に、月の光がキラキラと輝き、陰影が美しい。見えはしないが梅が有って、どこからかともなくその甘い香りが鼻をくすぐり、一段と味わいを添える。
「竹無し秋風を欠く」の意味は、
竹やぶを抜ける風は涼しい、とよくいわれます。たしかに夏でも竹やぶの近くは涼しい。もしその竹が無ければ、暑い夏に、秋のような爽やかな風が、頬をすぎなくなる。
人というのも、梅のように、味わいを添えられる。竹のように、爽やかさを運んでこられる。そういう人には、おのずと人が集まるものです。
ちなみにこの句は、もとは中国の南宋時代の宋自遜という人の「閑地」という五言律詩の一節で、「梅に月色を添うる有り、竹に秋風を欠くる無し」とも読めます。
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